小さな生活のすすめ

いまという時代に、生きづらさを感じている人は少なくないようです。私たちのまわりには、将来の不安をあおる情報があふれています。つぶさに見れば予兆はあります。少子高齢化、人口減少、広がる格差、膨らむ一方の国の借金。年金制度は破綻するとか、近い将来地価が暴落するとか、国家財政が破綻してハイパーインフレがやってくるとか、医療制度が破綻して医療費自己負担の時代がやってくるとか、介護人材が不足して介護が受けられなくなるとか・・・。でもそれらはいずれも結果が出るのはまだ先のこと。「いま」はまだそれほど悪くない。だから不確かな将来への「不安」は、とりあえずわきへ置いて、「いま」をどうすれば心やすらかに生きられるか、を考えていきたいと思います。

内田樹さんは次のように書いています。「いつでも先の見通しなんかさっぱり立たなかった。よく高度経済成長期は未来に希望があって、社会全体が明るかったと言う人がいますが、そんなのまるで嘘です。」(続・中学生からの大学講義1:ちくまプリマー新書)
「いま」が将来への不安だらけの時代のように思えても、やがてあと何十年かしたら「あのころはよかった」と言われるようになっているかもしれません。そもそも将来の予測は、当たらないことのほうが多いようです。どうなるかわかないことを心配しても、答えが出ないんじゃないでしょうか。むしろ想定していなかったことこそ起こりえるというものかもしれません。だから不確かな先のことをくよくよ気にかけるより、かけがえのない「いま」を大事にするほうが「お得(損が少ない)」です。

では、「いま」という時代をどうすれば心やすらかに暮らすことができるのか。「小さな生活」をキーワードに考えていきたいと思います。
とりあえず、個々の収入がいくらということを別にすれば、私たちの生活はずいぶん豊かになりました。タダで使える社会資本(図書館、公民館、保健所などの行政サービス)も昔とは比べものにならないほど充実しています。さらに昔は一般人にはとても手が出ないくらい高かったものが、いまではわずかなお金で手に入る、というものも少なくありません。また、最近では「シェアリング・エコノミー」という言葉がよく使われるようになりました。「買う」から「借りる」に生活のスタイルが変化していく兆しがあります。「お金」についても揺らいでいます。大きな変化のひとつは「電子マネー」。現金をほとんど持ち歩かなくなる世界が、すぐそこまで来ています。もうひとつは「ビットコイン」に代表される仮想通貨の登場です。いま私たちは「円」で支払いをしていますが、「べつに円じゃなくてもいいよね」とみんなが考えるようになれば、たとえば「ドル」「人民元」さらには全く新しい「仮想通貨」でみんなが支払うようになるかもしれません。日本でもかつて中国から「宋銭」が大量に輸入された時代がありました。中国のお金が日本で当たり前に流通していたわけです。べつに日本政府のお墨付きがなくても、売る側がお金(あるいはお金の代わり)として受け取ってくれるならば、事実上のお金として使うことができます。お金とはそういうものです。近々、消費税の増税が避けられないだろうといわれています。もし将来消費税が上がり続けるとなると一部の人たちは消費税の支払いを免れるために物々交換を装った仮想通貨のようなものでの取引に流れるだろうと私は考えています。

「円」というお金の価値は絶対ではなく、あくまで相対的なものです。円に限らず「ドル」も「ユーロ」も「人民元」も、すべてお金の価値は相対的なものです。そしてお金に限らず、お金を尺度として値段がつけられている「モノ」や「サービス」の価値も相対的なものです。
だから、「小さな生活」の最初の一歩は、「あなたにとってそれはどれだけ必要なのか」という問いかけから始めてみたいと思います。
究極の目標は最小の支出で最大の心やすらかな生活をすること。とりあえず「昨日より少ない支出で、昨日より心豊かなきょうを暮らす」ということを当面の目標にしてみましょう。

では、具体的にどうすればいいんでしょうか。これから考えていこうと思います。

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