「スマホ決済」の行方

「QRコード決済」は百花繚乱

2月20日、みずほ銀行が、地方銀行などと組んで、「Jコインペイ」という「QRコード決済」のシステムを始めると発表しました。同じ日、メルカリも「メルペイ」という「QR-度決済」を発表しています。きょうの列車の広告では、リクルートの「Air PAY」という広告が出ていましたし、(いままで知らなかった)ゆうちょ銀行も5月から「ゆうちょPay」をスタートさせるそうです。「PayPay」の支払額の20%をポイントとして還元する100億円還元キャンペーンが10日で終了したのは去年12月のことでした。このほかにも「楽天ペイ」や「LINE Pay」「Origami Pay」などたくさんあって、まさに百花繚乱の状態。キャンペーンの内容もそれぞれ違うみたいですし、どれがいいのか、何が違うのか、さっぱりわかりません。

背景にあの「消費税対策」

背景には、10月に迫った消費税の引き上げにともなう消費の冷え込みを防ぐために、政府が電子決済に5%ともいわれる大掛かりな還元策を打ち出したことがあります。
中国で爆発的に普及した「スマホ決済」が日本でも政府の後押しで普及するだろうとみて、各社ともバスに乗り遅れまいと、様々な業種から参入してきています。
とりあえず、最初はシェアを高めるのが肝心とばかり、各社とも採算を度外視してキャンペーンを繰り広げてくれるので、利用者にとってはうれしいことこのうえないのですが、ちょっと危ない気もします。
参入する各社の思惑としては、なんといっても個人の購買データが蒐集できることでしょう。だれがいつどこで何をいくらで買ったかがわかれば、その情報をもとに「ターゲット広告」を打って、新たなビジネスにつなげることもできます。すでにカードなどでポイント制度を設けているところは、スマホ決済の普及で顧客をほかに獲られないように、いわば守りのために参入しているところもあるとききます。

狙われる個人情報

そしておそらく、表向き「消費税引き上げによる景気の冷え込みを抑える対策」といっている政府の2番目の狙いは、オリンピック・パラリンピックのテロ対策にもつながる、個人情報の収集だろうと思います。すでにクレジットカードの履歴情報が犯罪捜査に大きな役割を果たしていますが、さらに「スマホ決済」が普及することで、犯罪捜査がより高度になり、テロなどの犯罪の抑止にもつながることを期待しているはずです。監視カメラも高度化していますし、それに「スマホ決済」のビッグデータがリンクされれば、かなりの精度で個人の行動を把握することができます。個人情報がダダ漏れになるのはうれしいことではありませんが、これだけスマホが普及すると、個人情報が2次利用されてしまうのは、現代を生きる人の宿命なのかもしれません。やがて現金を使うのは後ろ暗いところがある犯罪者だけになる、、、という時代が遠くないようにも思えます。

「いつのまにか使いすぎた」にご用心

それより私が問題にしたいのは、「買い物のときに現金を使わなくなると、とたんに財布のひもが緩む」という問題です。お財布から現金で支払うと、人間はその時点で、一定の節約モードがかかります。ところが現金を支払う必要がないと、節約モードのハードルが下がり、ワンランク高い買い物をしてしまうということが、行動経済学(心理学)の実験で確かめられているそうです。クレジットカードの場合は、加入するのに「審査」がありました。ところが、いまの「スマホ決済」は、スマホさえ持っていればほぼだれでも登録が可能です。
アメリカで貯蓄率が低いのもクレジットカードの普及が関係しているといわれていますし、中国でいま個人消費が好調なのも、「アリペイ」などのスマホ決済の爆発的な普及に後押しされたものです。ちょっと前から私のまわりで「Suica」(JR東日本のチャージ式のICカード)の自動チャージ機能を使う人が増えてちょっと心配になっていました。「Suica」の自動チャージは、あらかじめ登録しておくと、チャージ金額が一定額を下回ったら指定された銀行口座から自動的にお金が引き落とされて「Suica」にチャージされるものです。「Suica」の残額を気にする必要がないので、便利なことは間違いないのですが、交通費にいくらかかったか気にしなくなって、交通費を「節約する」という感覚がなくなってしまう恐ろしさがあります。それでも電車代だけならまだいいのですが、駅のキオスクやコンビニの「Newdays」さらにはエキナカの自動販売機やさまざまな飲食店、専門店でも使えるようになったので、無駄遣いに歯止めが効かなくなりそうで、私はやめました。サインも暗証番号の入力も必要ない「スマホ決済」は、Suicaの進化系のようにも思います。すでにオートチャージ機能がついた「スマホ決済」も登場していますが、あなたの預金残高は大丈夫ですか。ポイントにつられて、あとで後悔することがないよう、くれぐれもご注意ください。

この国の行方

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